2008-05-28

ノルウェーについて思うこと(その1)

2ヶ月程生活してこの国の良い所と悪い所がだんだん見えてきた。良い所は人々が自然を愛し、家族を大事にし、ゆったりと暮らしている所。ノルウェー人の多くは裕福だと思う。給料から税金で30〜40%持っていかれ、さらにあらゆる商品に13〜25%の付加価値税が課せられていても暮らしていけるのは給料がその分多く支払われているからだ。さりとても仕事が厳しいようには思えず3〜4時には仕事を終えて家族の元に帰ってしまう。実際研究所の事務室も3時には閉まるので驚きだ。若い日本人の多くが会社で遅くまで働かされ、給料もギリギリで暮らしている事を思うと、非常に恵まれていると思う。

悪い所は仕事に対しての誠実さがもうひとつ感じられない所だ。この前の郵便受けの間違いの件で責任の所在について宿舎の窓口の人に尋ねたときも、自分のミスではないことを殊更に強調するだけで、組織全体としての責任、システムの欠陥には考えが及ばない。銀行も顧客へのサービスに問題がある。カードを送付しそれが戻ってきても、連絡を寄越さない。様々な案内もノルウェー語のみだ。日本に較べ社会の中に競争が少ない分、サービスの質が低く感じる。社会保障が充実しているから、将来に不安を感じる必要が無く、それが仕事に対してのモチベーションを下げているのかもしれない。

ノルウェーの豊かな暮らしは、自国の産出する原油輸出の利益からもたらされている。原油輸出国の中では、サウジアラビア、ロシアに次ぐ3番目の大国だ。原油を売って得た利益で国の経済が潤い、EUに加盟せず独自の通貨を用いることで他のヨーロッパ諸国との競争を避け、豊かな暮らしを維持している。今の原油高ではしばらくはノルウェーの通貨クローネが力を増すだろう。もしこの先この国の石油が枯渇したらどうなるのか?実は石油基金というものがあるらしい。原油売上による収益は将来の石油・天然ガスの枯渇に備えて、次世代の為に「政府年金基金」として積み立てられている。資金を運用し、それによって得られた利益を将来の年金基金として蓄えている。日本のように資源を持たない国にとっては羨ましい限りだ。ノルウェーはあと50年は原油を産出することを目標に掲げているが、その後どのような道をたどるかは、ノルウェーの人々の頑張り次第だと思う。

0 件のコメント: