2008-09-28

いよいよ

明朝に日本に向けて出発します。ノルウェーでの半年間は楽しくてあっという間でした。日本に着いたらすぐに仕事が待っています。取り合えず無事に日本に着く事をひたすら願うばかりです。

2008-09-26

帰国の実感

暫く出張やら帰国の準備やらで忙しくしていたが、ようやく一段落ついた。ベルゲン滞在についても書きたいことが一杯あるので、少しずつ書いていきたい。今日は本や暫く使う予定の無い衣類などを箱に詰めて、千葉に送り出した。こちらに来るときは本は数冊程度、衣類も必要最低限に留めた。滞在中もできるだけ荷物を増やさないように努めたが、思ったより荷物が増えていて驚いた。飛行機の機内預け荷物の重量制限はエコノミーなので20kgである。手荷物と機内預け荷物のバランス調整を頑張れば、荷物を送らずともぎりぎりなんとかなったかもしれないが、結局妥協してしまった。

こちらから日本に荷物を送るにはノルウェーの郵便局であるPOSTENのサービスを利用する。自分でダンボール箱を用意してもいいが、3kgを越える場合はPOSTENから「CarryOn」というマークのついた黒い箱をもらってきて、送った方が経済的である。細長い箱に10kgまで詰め放題で460NOK(約9200円)。船便にあたるサービスは存在せず、航空便しかない。

荷物を送り出し、昼をだいぶ過ぎた頃に大学に出勤した。キャンパス内の見慣れた光景も、これが見納めかと思うと、なんとなく寂しく感じる。月曜の朝早くこちらを出発する予定なので、大学の鍵やカードを金曜の今日の内に返却する必要があった。返却する前にもう一度研究室に立ち寄った。窓からいつも眺めていた風景も今日が最後である。こちらにきた時はまだ寒く、木々もこんなに葉が茂っていなかった(私のHP参照)。これから冬に向かうに連れ、おそらく急激に寒くなっていくことだろう。鍵の返却を無事済ませ、Piene先生やRanestad先生へ別れのご挨拶をし、再び宿舎に戻ってきた。荷物が無くなってがらんとした部屋にいると急に帰国する実感が湧いてきた。今晩は残っている食材を使って寿司を調理した。自分で言うのもなんだけど、見た目は悪いけど味の方はまあまあ。

2008-09-22

Bergen Express

昨晩は遅くまでKleppe先生のお宅を訪問し、その後大学に出てセミナー発表用の資料を準備していたため、その疲れがまだ少し残っている。今日から2泊3日でベルゲンに出張だ。観光客にも人気のあるベルゲン鉄道でオスロからベルゲンに向かった。オスロ出発は朝の8時11分、到着は昼の2時52分。チケットはネットから購入可能で、普通に買う(739NOK)よりかなりお得である。私は席をNSB KOMFORTという席にアップグレードしたけどそれでも374NOK(約7480円)だった。ネットから購入した後に実際の切符は駅の自動販売機、もしくは列車内で受け取る仕組みだ。列車内は北欧デザインでまとめられ、おしゃれな作りになっていた。KOMFORTシートにはテーブルや、電源コンセントまで備わっていて、食事をしたり、仕事をしたりしながら、列車内での時間を過ごせる。列車の2号車には売店もあり、簡単な食事を購入できる。ベルゲン鉄道はノルウェーの山岳地帯を走っている。オスロから出発してしばらくは長閑な田園風景を走るが、高度が増すに連れて緑がまばらになり、やがて岩だらけの山岳地帯にさしかかる。列車の車窓にはノルウェーの雄大な自然が広がる。広大な大地を流れる氷河や、頂上に雪を頂く山々。普段なかなか見られない景色を思う存分に堪能した。

2008-09-17

お知らせ

一部の方には既にお伝えしましたが、改めてこのページでもご報告致します。日本の大学への就職が決まりました。長かったポスドク生活も、これでようやく一区切りが尽きホッとしております。日本には9月末に帰国します。10月からは研究拠点を千葉に移し、研究・教育ともに尽力して参ります。長く住み慣れた京都や、生活に慣れ親しみを感じているオスロを離れるのも寂しいですが、また新しい土地で心機一転、頑張ります。「オスロ日記」は帰国するぎりぎりまで、できる限り更新する予定です。読者の皆様には今後もこのサイトへのご愛顧を宜しくお願い致します。

2008-09-15

Bergen

今日の代数・代○幾○セミナーはオスロ大学のP先生が講演された。凸体に余次数という"有理数"不変量を定義し、余次数の大きな凸体を特徴づけるという問題を考えておられた。今週は凸体の幾何的側面から話を進められたが、来週は今日の続きを代○幾○的側面から(即ちトーリック多様体の言葉で)講演される予定だ。今日の講演が面白かったので、来週もセミナーに出席したいのだけど、私は別の予定が入っており出席できない。残念。

いよいよ滞在も残りわずかとなったので、来週はベルゲン(Bergen)に旅行する予定だ。


大きな地図で見る

ベルゲンはノルウェー第2の都市。北に広がるフィヨルドへの玄関口として観光客にも人気の街だ。特にオスロからベルゲンを結ぶ鉄道(通称ベルゲン鉄道)は、車窓から雄大なノルウェーの自然を体感できるとあって、評判である。前々から行きたいと思って計画を練っていたのだけど、結局帰国間際になってようやく行くことを決めた。純粋に観光を楽しむというのでも、もちろん良かったのだけど、せっかくだからベルゲン大学の代○幾○学セミナーで発表をし、研究の話を聞いて頂くことにした。来週月曜の朝早くオスロを出発し、ベルゲン急行で約6〜7時間かけてベルゲンまで行く予定。火曜は一日観光して、水曜の午前中にセミナーで話し、同日飛行機でオスロに戻る計画だ。ノルウェー滞在の締めくくりが最高のものとなるように準備を進めたい。

2008-09-14

Galley Proof

某雑誌から届いたゲラ刷りをチェックしているのだけど、こちらが提出した最終版から変更されている箇所が大量に見つかった。しかも目立たないように変更されているので、チェックに一瞬たりとも気が抜けない。まるでちょっとした間違い探しゲームみたいなものだ(笑)。雑誌にはProduction Editorという肩書きの人がいて、その人が原稿を組んでいる。私は英文を書くときコンマをあまり入れない主義なのだけど、徹底的にコンマを入れられたorz。図や表の位置が変わっていたり、§がSectionになっているくらいならまだいいのだけど、数学の内容が変わってしまった部分があった。sheaf Homを意図して柔らかいHomを使っていた部分が、group Homになっていたり、関係代名詞の制限的用法が非制限的用法に変わっていたりともうメチャクチャ。昨日から必死こいて直している。一週間以内(水曜締切り)に訂正を送らないとそのまま出版するか、後の号に回すと脅されているので、もう必死。今回の論文を雑誌に投稿した時の編集者は、現在は私のご近所にいたりする(^^)。こちらのP先生である。投稿時に大変お世話になったので、お礼も兼ねてゲラ刷が届いた事をご報告したのだが、先生も雑誌社からの校正に納得が行かないご様子だった。

2008-09-13

日本人親睦会

新しくオスロで留学を始めた日本人学生の方との親睦会が開かれ参加させて頂いた。参加者は料理・飲み物持参でということだったので数日前から何を持っていこうかと思案にくれていた。料理は日本食かノルウェー料理をという要望だったので、結局いなり寿司を持っていくことに決めた。今日は昼からご飯を炊き、ネットで調べたレシピで寿司酢を調合し、調理に必要な準備をした。いなり寿司のいなりは、オスロ市内だとJapanTorgetにて購入できる。写真は完成作品。作ったのは今回で2回目という事もあって割とうまく出来た(^^)。親睦会の場所は日本人留学生の雅さんのお家。参加者は全部で20名以上は居た。部屋は普通の単身用なので、部屋の中は人で溢れんばかり(笑)。オスロ大学にこんなにたくさんの日本人留学生の方が居られるとは全く認識していなかった。ほとんどの方は学部の2〜3年生程度の若い学生さん。私とは一回り以上も違って元気いっぱい(^^)。珍しい日本食ということもあって、いなり寿司は大好評。美味しく召し上がって頂けたようなのでホッとした。

2008-09-12

ぐったり

昨日の遠足のせいで体が重い。危惧していた筋肉痛が出なかったのは幸い。しかし疲労が溜まって仕事にイマイチ集中できてない。昼過ぎにChristianがオフィスを訪ねてきた。「5分だけ話を聞いてくれ」といわれ「5分なら」と承知した(^^)。昨日も昼食中に彼の問題を一緒に考えた。証明にどこか誤りがあると思うので、それを指摘して欲しいとのこと。こういう質問は難儀する。それでも証明を聞いて、たぶんココだろうと想像がついた。証明中に記号の乱用が見られ、そのせいで自分で自分を騙してしまっている。乱用を止め、不明瞭な部分をより丁寧に書くように言ったのだけど、今日彼の持ってきた証明を見ると、やはり乱用は直って居らず、証明というよりはメモみたいなものだった。ちょっとイラッとしたが、一応話を最後まで聞き、結局ギャップが見つかった。彼にそれを指摘したのだが、かといって何か別の良い手も思い浮かばず、彼もがっかり、私もぐったり。結局議論の進展は無いまま、一時間後お開きになった。

Lysvandring langs Alnaelva

R先生の学生達による質問攻めに合った一日。彼らが代わる代わる私のオフィスを訪ねてくるのでこちらは休んでいる暇が無い(>_<)。今週はいろいろとやらないといけない事もあるし、明日もし訪ねてきたら、頼んで少し時間を短めにしてもらおう。昨日今日と立て続けに雑誌とプロシーディングから論文のゲラが届いた。雑誌はネット上で確認&校正作業をするタイプで一週間以内。プロシも最終確認をして早めに返事をする必要がある。いつも思うけど、こういうものはなんだか重なるべくして重なる気がする。 Andreaに誘われて夕方から「Lysvandring langs Alnaelva」というオスロ市内のイベントに出かけた。英語に直訳するとlight walking along Alna river。Alna川は市内でもっとも長い川である。川沿いの道に沿って写真のようなランプ(ロウソク?)が並べられ、そこを散歩する企画だ。時間は19時スタートで、22時半まで。日がくれると闇の中にランプの列が浮かび上がり、幻想的な雰囲気になる。道の途中にテントがいくつも設けられ、音楽の演奏や、郷土の歴史を紹介する写真等が展示されていた。

我々はGrorudというT-baneの駅を降りた後、南に向ってほぼフルコースを完歩した。早足で歩いて4時間ほどかかったので、今日一日でおそらく15〜16キロは歩いたのではないだろうか?序盤は市街地から離れたためか空気も冷たく澄んで気持ちの良い散歩だったが、終盤はくたくたに疲れ、早く目的地に着けとそればかりを祈りながら歩いていた。明日は筋肉痛になること間違いない。

2008-09-10

Høgskolen i Oslo

K先生にセミナーに付き合って頂いた。お昼前に先生の大学Høgskolen i Oslo (Oslo University College)で待ち合わせをした。大学にお伺いするのは今回が初めてだ。KringsjaからForskningsparkenまで地下鉄、その後トラムに乗り換え、時間に余裕を持って大学の最寄り駅「Holbergs plass」に到着した。オスロ大学(Blindern)は市の郊外にあるが、Oslo University Collegeは市の中心に近い。建物の外観も近代的、中も吹き抜けになっていたりして洒落た雰囲気である。一階のレセプション前でしばらく待っていると、先生がいらっしゃった。昼食に誘って頂き、大学近くのSas Radisson Hotelに連れて行って頂いた。今日は大学で特別なセミナーが開催され、その関係でファカルティのメンバーがホテルで会食をすることになっていた。有難いことに私も一緒に会食に招待して頂いた。

食後は大学の中を案内して頂き、その後セミナーで先生のお話を聞いた。夏休み前に「このような例をご存知ですか?」と質問したのだが、質問に興味を持って頂いたようだ。今日は休み中に考えておられた例を紹介して頂いた。例を構成するのは容易ではなく、様々な機械(machinery)を用いて、やっと得られた例だった。機械についても最初から説明して頂き、大変有意義で楽しい時間を過ごした。

2008-09-09

金平糖

朝からずっとお腹の調子が悪くて何度もトイレに行く。原因はたぶん朝食べたヨーグルトだと思う。前回食べたときもお腹を壊したのでほぼ間違いない。まだ賞味期間が残っているけれども、もう捨ててしまおう。昼前にAndreaがオフィスを訪ねてきたので、数学の質問に答えた。

夕方からはP先生のお宅を訪問した。昨日のセミナーの講演者を迎えての懇親会。こちらの先生のご自宅に呼んで頂いたのはこれで2度目である。招待を受けるといつも迷うのがお土産。今回はワインとチーズを持ち寄ってのホームパーティーと聞いていたのでだいぶ迷ったが、結局金平糖を持っていくことにした。こちらに来る前に京都の緑寿庵清水で購入した桜の金平糖で、ピンクの小箱に入っていて見た目もとても綺麗。賞味期間も長いので安心だ。先生のご自宅は閑静な住宅街にあった。住所だけを頼りに出かけたのでちゃんと着けるか不安だったが、最寄り駅でうまく他の招待客二人と一緒になった。その後三人でかなり道に迷った挙句ようやくお宅に到着。パーティーの参加者のほとんどは学生さんなどの若い人達で、みなさんと一緒に楽しい時間を過ごした。会話はノルウェー語と英語が半々くらい。英語で話している時しか会話の内容はわからないが、たとえ英語でも大勢で話すとみんな早口になるので私にはついていくのが精一杯。もっぱら聞き役に回る。食後のデザートの時間に、各参加者が持ち寄ったクッキーやチョコ、それにケーキが振る舞われた。(結局ほとんどの方がお菓子をお土産にされていた。)私の金平糖が無かったので不思議に思ったが、P先生はそんな私の表情を察してか、Hiroさんのお土産は一番最後のお楽しみだと皆に説明される。みんなは興味深々の様子で、私は期待して頂いたにも関わらずお口に合わなかったらどうしようと不安が募った。パーティーがお開きになるちょっと前に金平糖を出して頂いた。みなさん遠慮され数粒しか取られなかったが、概ね好評だったようなのでホッとした。夜の10時くらいに他の若い人達と一緒に先生のお宅をお暇した。

2008-09-08

セミナー

今日はセミナーが二つ。昨夜の騒動の疲れからかあまり良く眠れなかったので疲れぎみ。一つ目はL先生の講演で先週と先々週の話の続き。時間、速度、スピン、クウォークなどの物理の言葉が、モジュライ空間、接束、ゲージ群、リー代数など数学の言葉で次々に説明されていく興味深い内容。最後に導来圏の話が出てきた。日本にいるとセミナーや研究集会などで話を聞く機会が多いけど、こちらで聞いたのは始めてかもしれない。

二つ目は代数曲線や代数曲面を如何に早く正確に描くかというお話。ノルウェーに来るちょっと前のこと、とある理由から3次曲面の画像をネットで探していた。その時に曲面の退化や、回転など実に綺麗に描いているサイトを発見した。ドイツの代数幾何研究者の中に代数曲面やその特異点をコンピューターの画面上に描くソフトウェアを開発しているグループがいる。今日はその作者さんがオスロ大学に講演にいらっしゃった。興味のある人が居られたら「cubic surface」で画像検索してみる事をお勧めする。

明日の夕方は懇親会としてPieneさんのご自宅でチーズとワインによるパーティーが開かれる。明後日はKleppeさんの大学に出かける予定。どちらも始めての場所で、無事辿り着けるか心配である。

2008-09-07

失敗

危険性を承知してあれだけ注意していたのにやってしまった。

昨日の大学からの帰りの出来事。いつものように研究室の戸締りを確認し、カバンを持って部屋の外に出た。1階へ降りるためのエレベーターを待っていた時の事だった。室内に財布を忘れた事に気がついた。ふ〜危ない危ない、すぐに気がついて良かった...などと呑気に部屋に戻ろうとしたら、

カードキーが財布に入っている!

こちらの建物はセキュリティ上の理由から建物全体が幾層にもブロック分けされている。各ブロックをつなぐドアは、ビジネス時間外になると自動で鍵がかかる。研究科の構成員にはカードキーが与えられ、時間外にはそれを使って解錠し出入りする。運の悪いことに昨日は土曜日、しかも時間は夕方の7時。ブロックの外に一度出てしまうと、もう中には戻れない。なんと愚かなんだろう。私の研究室がすぐそこに見えているという事実が、情けない気分に一層拍車をかける。しばらく待っていれば誰か人が通って、向こう側からドアを開けてくれるかもしれない。一縷の望みにすがり、しばらく待ってみた。

〜10分経過〜

全く人の通る気配は無い。

〜20分経過〜

相変わらず物音ひとつ聞こえてこない。

〜30分経過〜

だんだん心細くなってきた。もしかすると財布を諦めて帰る事になるかもしれない。普段財布とは別に持ち歩いている小銭入れの中身を確認してみることにした。さてさて帰りの電車賃くらいはあるかな?私:「.........。」

1Krone(クローネ)と50Øre(オーレ)のコインが一枚ずつ!世界一物価の高い国ノルウェーで、所持金がたったこれっぽっち!1.5NOK(約30円)じゃ何も買えない(笑)。普段の生活はカードだけで事足りるので私はあまり現金を持ち歩かない。カード社会の落とし穴にはまってしまった。もうこうなったら歩いて帰ろう。この頃は運動目的で宿舎のあるKringsjåから大学のあるBlindernまで片道40分かけて徒歩で通学している。帰り道は上り坂だからきついけど、まあ歩けない距離じゃないし...と覚悟を決めて1階まで降りた。日曜日の食事代どうしよう?...なんて事を考えながら、1階の玄関のドアを見るとなんとここにも!つまり図で説明するとこうなっている。

<研究室のあるフロア> |ドア| <エレベータのあるフロア> |ドア| <外>
                  ↑
                 今ココ
閉じ込められた!!!


今頃になってようやく事態の深刻さを理解する私。出るに出れず、入るに入れず。もうなんだか自分がアホ過ぎて笑えてくる始末。それにしてもお腹減ったなあ...。とりあえず再びエレベーターで研究室のある6階にまで戻った。先ほどのドアを恨めしくガチャガチャやってみたけど、誰も通る気配が無い。このまま月曜の朝まで誰もこなかったらどうしよう?そうだ!携帯を使って友達を呼び、助けてもらおう。Christianは大学の近くに住んでいるけど、彼の番号知らないし、Andreaの番号は知っているけど、今晩は国立劇場にイプセンを見に行くって言ってたよな。彼女は前から楽しみにしてた。邪魔しちゃ悪いよなぁ。八方塞がりの状態になんだか泣けてきた(ToT)。エレベーターの階表示ランプを凝視しながら、人の気配を探ったけど、ピクリとも6階から動かない。考えてみれば土曜日のこんな遅い時間に研究室に出てくるノルウェー人なんて居るわけない。自分が必死過ぎて笑える。

閉じ込められてから40分が経過した頃、微かに物音がした(気がした)。ドアの前まで言って、取っ手をガチャガチャとやって、必死に存在をアピールする。

「私はココダヨウ!」

その時ドアの向こうから人が近づいて来るのが見えた!やった!アジア系の学生さんだ。もう彼の存在が有難すぎて後光がさして見えた。やっぱアジア人最強!いざと言うときに頼りになるのは働き者のアジア人だよね〜。さっきまでの不安はどこへやら?自分の失敗を棚に上げて思わぬ救世主の出現に軽口まで(^^)。彼にもっとお礼を述べたかったけど、彼は「No Problem, No Problem」と言い残し、さっさとトイレに行ってしまった。それにしても彼が居てくれたおかげで助かった。無事研究室に戻り財布を回収し、一時間遅れで宿舎に帰宅した。研究所の建物に限らず一般にノルウェーの建物はセキュリティが厳重だ。少々やりすぎのように感じるのは私だけか?

2008-09-03

論文再投稿

論文の再投稿に向けてしばらく細かい作業に従事していた。今日ようやく投稿できたので、これでまた自分の研究に戻れる。以前の投稿先のレフェリー氏から、すごく丁寧なレフェリーレポートを頂いた。彼の提案や勧めに従って、論文に大幅な修正を加えた。定理の適用範囲が分かり易くなり、その上証明も改良されたので大変感謝している。先週末にいろんな出来事があったので、少しずつ書いていくつもり。

2008-09-02

開学記念日

昼ご飯をChristianと一緒に食べる約束だったので、昼前くらいに大学についた。程なくして彼が現れたので、並んで大学の食堂に向かった。一般に身長の高いノルウェー人の中でも、彼はずば抜けて背が高い(190cm)。私と並ぶとちょうど頭一個分違う。北欧にはスタイルの良い人が多いとは聞いていたけど、本当だった。彼がスーツを着ているのを一度見たことがあるが、足の長さ(!)にびっくりしたのを覚えている。

今日はオスロ大学の開学記念日。開学記念日にはBlindernキャンパスの広場にテントが現れ、無料のケーキが振る舞われる。日本だと開学記念日には授業が無いのが普通だが、授業は普通にある。広場には開学以来の歴史について紹介する写真が展示され、彼が一緒だったのでいろいろ説明してもらった。食事を済ませ、デザートにケーキを頂こうと広場に戻ったら、既に無くなっていた。

彼は以前にも増して私のオフィスを良く訪ねてくるようになった。会う度に質問をされるので、次は一体何を聞かれるか?といつもドキドキしている(笑)。今の所はしばらく考えて答えがみつかる程度だけど、そのうち私の手に負えない質問が来るかも。指導教官以外に、質問出来る相手がいるというのは重要な事だ。指導教官にはなんとなく気が引けて尋ねにくいような事も、ちょっと上の先輩や良くできる後輩(^^)になら遠慮なく聞くことが出来る。私も名古屋で学生だった頃、2・3個上の先輩が居たので良く質問させて頂いた。京都では同分野の"若手"研究者がたくさん居たので、とても心強かった。こちらには代○幾○学を専攻している博士課程以上の若い人があまり居ない。日本(というか京都が特別?)だったら尋ねる相手に不自由しないけど、こちらではちょっとだけ不自由である。その分私にお鉢が回ってきているということかもしれない。今までいろんな方にお世話になった。今度は質問される側になって役立ちたい。

2008-09-01

セミナー

月曜日なので、セミナー日。L先生が先週の続きで講演をされた。時間は45分×2回で、途中で10分の休憩が入る。休憩時間にK先生と数学の議論をしていたらいつの間にか後半のセミナーが始まってしまった。遅れたのは僅かだったけど、いつの間にか講演がノルウェー語に切り替わっていた。誰かが何か言った後すぐに英語に戻ったけど、明らかに私の為だけに英語で話して頂いているのが分かり、何となくいたたまれない気持ちになった。前回に続き非可換変形理論について紹介して頂いている。面白そうな話なのだけど、「場の量子論」とか出てきて、早くも落ちこぼれつつあるorz。